今回はアニメレビューです。
取り上げるのは、赤髪の白雪姫です。
全24話を観た上での感想になります。
面白くないと思った作品はだいたい3話までには切る私が、全話観たということなので、一定の水準を越えた面白さはあったということになります。
その上で、少し厳しめのいちゃもん評価になります。

キャラクターのバックボーンの掘り下げが浅い

第一話で、ヒロインは薬剤師として皆から頼りにされていて忙しい毎日を送っていたようですが、国を出てから一度も故郷の誰かや何かを懐かしむ描写が無く、「この子は今まで何をしていたんだろう・・・」と不安になりました。
そもそも何で薬剤師をやっていたのか、その目的がさっぱりなんですよ。
別に、過去の描写を一から全部描けといってるんじゃないんです。
普通、これから描いていく一つ一つの行いに、彼女のこれまで生きてきた集大成が現れていくわけですが、それが感じられないのです。
彼女だけじゃなく、他のキャラクターも「生きている」感じがしませんでした。
作品として作られたキャラクター達に見えたというのが、正直なところです。

腑に落ちない恋愛模様

多くのキャラクターに好意的に思われるヒロインですが、なぜそこまで惚れられるのか理由がわかりません。
たしかに性格はいい子ですが、それだけです。

例えばゼン王子も速攻で惚れていたし、「赤髪の力すげーな」というしかありません。
結局王子がどの時点でヒロインを好きになったか分かりませんでした。
そんなゼン王子ですが、威厳がない、ただの金持ちのボンボンにしか見えません。
巨大な権力を握る人間は、本来その自由は制限されて身動きも発言も軽々とは出来ないものですが、ここの国の王子は会いたい時に自由に宮廷薬剤師と会えるみたいです。
色々と二人の間の障害を口にしていましたが、実際そんなに障害は無く、口ばっかりで、ロミオとジュリエットが聞いたら呆れるほどのハードルの低さです。
あの自由さを見ると、もはや王子という設定は強い権力を持ったキャラを作りたかっただけのものに思えます。

兄さんに「珍しい髪の色に惹かれただけだ」と思われても仕方ない気はします。
だって、ヒロインの子、本当に普通にそこらへんにいそうな子で、特別何か抜きん出たものがあるわけでもない。
白雪の度胸だ?
殺し合いや人身売買が横行するような世界なら、命張らなきゃやってられねぇだろ。
この世界基準で考えれば彼女の度胸なんて雀の涙でしょう。

まぁでも、恋は突然といいますし、一目惚れということもあります。
一人くらいになら一目ぼれされても良いでしょう。
100歩譲って納得します。
しかし今回、二人も王子が惚れてたので、さすがに引きましたね。

その二人目の王子というのがラジ王子ですが、彼もまた人格が変わってしまうほどにヒロインに惚れている理由がわかりません。
たった一言で落ちるものなのか?
こいつもチョロイ男なのか?
はたまた他人の女だから惚れたのか?
「王子との相性が良い白雪」って何だよ!
そんなんで視聴者だませると思ってんのか。

ヒロインは総受けですか、そうですか。
・・・にしても王子二人はたまげたなぁ、欲張りすぎんよぉ。

白雪なんて嘘。腹黒雪だよコイツは。

オビが白雪を守れなかったと悔やんでいる所に、白雪が気付いて声をかけるシーン。
白雪が気付くの?そこで?
オビの言動に気付けるなら白雪の事好きな気持ちにも気付くだろうがよ。
自分の事を好きな奴をキープくんとして留めておきたいから声かけたように私には見えました。
自分は彼の気持ちに気付いていない鈍感女として振舞う性悪女ならリアリティあるぜ~。

都合の良いように話を進めるのにありがちな、普段鈍感なのにここぞという時にだけ発動する謎の洞察力。
鈍感だと、周りの影響で右往左往しないから、あたかもどっしり構えてるように見えるですよね。
実際は周り見えてないだけなんですけどね。

都合の良い時だけ洞察力が発動するならどんな失態も無いし、相手からも「この人俺のこと分かってくれてる!」という評価もいただけるし、人から好かれるわな~。
だから結果、凄い出来の良い人間に見えるのです。
あー羨ましいわ。
そんな力私も欲しいよ。
本来、人の気持ちを察する力ってのは好意が一番容易に分かるものですからね。

セキュリティゼロの城

「それでも世界は美しい」というアニメは3話切りしてしまったんですが、王が弓に射られそうになったり火事にあったりと命が危ぶまれる事件が起きます。
でもここ城内ですよね?
衛兵は一体なにしてんですか!仕事しろ!一番偉い王に命の危険があってたまりますか!!
犯人も見つかっていないのによくのうのうとその城でこれまでどおりに生活できますね。
母がいなくなってから眠れない?命の危険が常に晒されてたら普通は眠れないだろうよ!
・・・すみません、私この城怖くて無理です。

こんな無防備な城は他には存在しないだろうと安心していた矢先です。
“赤髪の白雪姫”にも同じようなセキュリティゼロの城が存在しました。ラジ王子の城です。
そこでも、白雪が狙われているという情報をしらなかったとはいえ、ピーチ姫の如く、あっけなく攫われてしまうのでした。
衛兵ー!なにやってるだー!!!

とどめにクズ親

いきなりの”お父さん”の登場に鼻水が出ました。
どんな理由であれ子供を捨てた親は等しくクズです。
子供と離れ離れにならないといけない止むを得ない事情があるのだろうと思えば、その実、さらっと他愛も無い理由だったので、虫唾が走りました。
白雪も、自分を置いてった親に対して「お父さん」なんてよく呼べたな。

また例のご都合主義的キャラクター?

お父さんを登場させたのも、ゼンと白雪を親公認的として第三者から認められていますって感じを出したかっただけなのかも?
何でもないただ血が繋がっただけの捨てた親に公認にされても良い話にもなりゃしねぇ。

結論

この作者が特に考えなしにその場のフィーリングで話を作ってるのを端々に感じました。
フィーリングだけでここまで面白く出来るのは、ある意味天才です。

これら全てはご都合主義の一言で片付ければ良いだけのフィクションです。
だから作り物の作品として観ました。
キャラクターにリアリティが全然なくて全然感情移入出来なかったという事の点で「面白くない」、というより「楽しめなかった」というほうがしっくりきます。
そういう意味で評価は辛辣になってしまいましたが、服はオシャレで可愛いし、面白くなる要素のあるダイヤの原石だと思うので今後も期待します。
img334