オレンジ色のトンネルの上に、月からこぼれ落ちたくちびる達がなめくじのように這っては逃げていくのを、足で踏もうとするも、穴の中に逃げていくので踏みそこねる。

無数に枝分かれする血管が地面から生え、管の先には回転する刃の花が咲き誇り、火の粉が四方八方に火の粉を撒き散らしている。その火の粉が落ちた地面から、新たな血管が生え、また枝分かれしていくのである。

狼が駆けるこの道は、天地がひっくり返っていて、それは革のカバンの底面になっている。一人の紳士がそのカバンを持ち、狼に追われている。その光景が、小さい子供の瞳に映っている。

髑髏の上はライトアップされたステージとなっていて、男女が組んず解れつお互いの四肢を喰い合っている。すると、砂糖の雨が降り出すが、浮かぶバーナーの炎で焦がされた砂糖は茶色の雨粒となって、二人の身体に積もり、火傷を負わせる。

Sの字に弯曲した顔面を象ったすべり台が無数に置かれている公園。入り口の扉が開け放たれるやいなや、たくさんの子どもたちがはしゃいで入ってくる。子どもたちの顔はしだいにSの字に弯曲していく。

この階段には、水がゼリー状になって散らばっているので滑りやすくなっていることを警告する注意書きのプレートをソリにして、髭の生えた子供が階段を滑っている。ソリの前面は小さな穴が空いていて、滑るとゼリーを吸い込んで、後方へと吐き出す。吐き出されるゼリーには、ゴミや毛髪が混じって黒くなっている。階段の窓には月が見え、その月は階段の形に削られている三日月。